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2019年度7月の勉強会(記念講演)「長野県の経験から」
7月の勉強会は、水口哲理事のアレンジで、中島恵理・環境省計画官(前・長野県副知事)に「長野県の経験から」と題してお話しいただきました。同理事が解説します。
「副知事室から見た環境、G20から見た世界」(仮題)
G20エネルギー・環境大臣会合が6月中旬に長野県で開かれたのには理由がある。再生可能エネルギーや高断念住宅を普及する制度設計、病院や農業の適応策、SDGsに取組む中小企業と地域金融機関をつなぐ仕組みなど、長野県の温暖化政策は日本のなかでは群を抜いている。政策の推進力の真ん中に中島恵理さんがいた。
自治体のなかで温暖化政策の優先順位は高くない。雇用、経済、福祉など優先順位の高い政策と絡めていかない限り、順位を上げることは出来ない。しかし、タテ割りの壁は高い。中島さんは関連部局を集め勉強会を行い、分野横断で政策をつくるメリットに参加者が気づき、自ら動くようにした。外の関係者も要所で巻き込んでいる。
役所と業界が強固な互恵構造を成すとの指摘(注)もある日本の縦割りを超えるヒントがここにある。中島さんには3つの武器があったと思う。一つは、環境省時代に中央省庁間のタテ割りのなかで苦労し悔しい思いを重ね、リベンジの気持ちを高めていたこと。2つ目には英国留学中に獲得した政策科学の専門性。3番目には実体験の厚み。木を伐るところから始めて、10年かけてエコハウスを家族みんなで建てて、断熱材や太陽光、太陽熱について知見を深めた。レンガを積んでペチカもつくっている。林業、住宅、エネルギーをプロシューマ―として知る機会となったに違いない。
これらが彼女の言葉に力を与えたのだろう。環境省に戻った中島さんは今、中央のタテ割りと対峙し、それを乗り越えることが期待されるポストについている。彼女の挑戦は、日本全体がより持続可能な社会に進めるかどうかの挑戦と重なる。
(注)Samuels(1987)The Business of the Japanese State: Energy Markets in Comparative and Historical Perspective, Cornell University
- ◆日時
- 7月8日(月)18時20分~理事会・総会
19時30分~:記念講演「副知事室から見た環境、G20から見た世界」(仮題)
- ◆ゲスト
- 中島恵理・環境省計画官(前・長野県副知事)
- ◆場所
- 東京ウィメンズプラザ(表参道)第1会議室A