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2024年度JFEJ連続講座 人と地球をつなぎ直す――「食」から探るポスト気候変動の課題
日本環境ジャーナリストの会 連続講座
人と地球をつなぎ直す――「食」から探るポスト気候変動の課題
全7回の開催を予定しています。詳細は順次本ページにて公開いたします。
【2025.3.24更新】第5回 6月11日(水)食の進化の最前線―フードテックのインパクトと日本の可能性/田中 宏隆氏(株式会社UnlocX 代表取締役CEO)
― 開催の趣旨 ―
深刻化する気候変動と生物多様性の喪失。これに水や大地の汚染が加わり、地球は前例のない「3つの環境危機(トリプル・クライシス)」のただ中にある。危機を回避するには、自然の許容量を超えた大量生産、大量消費を前提とする社会の「仕組み」そのものの転換が必要になる。
現行制度を前提にした企業や市民の行動、それを規定する技術や文化。連続講座では、私たちの暮らしの中心にある「食」を入り口に、人と地球をつなぎなおす方向性を考える。トリプル・クライシスを生み出した社会の転換を促す報道のあり方も併せて議論したい。
《開催概要》
ハイブリッド開催:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) 、Zoom(ウェビナー)
※6月13日は、オンライン開催
開催時間:各回 19:00 ~ 20:40
※5月23日は、終了時刻最長で20:30
《参加費》
全7回 一括払い 7,000円(学生は3,000円)
1,500円/各回(学生は500円/各回)(但し、6月13日は800円。オンライン開催)
※JFEJ会員は無料 会員用申込フォームはこちら
*申し込みをされたメールアドレス宛に、支払用URL(イベントペイ)が記載されています。そこから申し込みされる回、お支払い方法を選択。お支払い完了後、前日までにオンライン用のURL(当日アクセス用)または詳細情報が送られます。
《お申込み方法》
第1回~第7回 一括申込
一括申込(イベントペイ)
《1回ごとに申し込みたい方へ》
各回の申し込みリンクはこちらです。
・第1回 4月18日(金)飢餓と環境破壊――食権力論のアプローチ/藤原辰史氏
・第2回 5月13日(火)ヨーロッパ農政における環境問題への対応の変遷/和泉 真理氏
・第3回 5月16日(金)土壌からお箸までー食品ロスを考える/入江 満美氏
・第4回 5月23日(金)農業などの人間活動が窒素循環および人と自然の健全性に及ぼす影響/林 健太郎氏 ※最長20:30
・第5回 6月11日(水)食の進化の最前線―フードテックのインパクトと日本の可能性/田中 宏隆氏
・第6回 6月13日(金)琵琶湖から生まれた資源循環型地域モデル。その軌跡と課題/藤井 絢子氏、園田 由来子氏 ※オンライン開催
◆第1回 4月18日(金)19時~
「飢餓と環境破壊――食権力論のアプローチ」
講師:藤原辰史氏(京都大学人文科学研究所 准教授)

生物多様性を喪失させ、気候変動を加速させる現在の農業のあり方をどう克服していくか。そのヒントは歴史の中にこそある。戦争、飢餓、ナチズム、給食、トラクター……。独創的な視点で農業と環境の歴史を分析し、多数の著作を通じて世に発信してきた著名な歴史学者が語る食と農の歴史といま、そして未来。
略歴:藤原辰史(ふじはら・たつし)氏
1976年北海道生まれ、島根県出身。京都大学総合人間学部卒、京大人間・環境学研究科中退。博士(人間・環境学)。京大人文科学研究所助手、東京大農学生命科学研究科講師を経て、2013年から現職。『ナチス・ドイツの有機農業』(第1回日本ドイツ学会奨励賞)、『ナチスのキッチン』(第1回河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(第10回辻静雄食文化賞)、『分解の哲学』(第41回サントリー学芸賞)、『農の原理の史的研究』など著書多数。第15回日本学術振興会賞受賞
進行:佐藤淳(読売新聞、JFEJ理事)
◆第2回 5月13日(火)19時~
「ヨーロッパ農政における環境問題への対応の変遷」
講師:和泉 真理氏(一般社団法人日本協同組合連携機構 基礎研究部 客員研究員)
EUを中心とするヨーロッパ諸国の農政は、1980年代終わりには農業による環境破壊が問題となり、環境保全と農業活動の両立を図る政策を進めてきた。農業と環境保全の両立への取り組みにおいて世界の先端を走るヨーロッパについて、その背景や、環境との両立を目指す農業政策の具体的な内容、さらには昨今の食料安全保障と環境保全との両立の課題について紹介し、「みどりの食料システム戦略」を契機に日本で環境に配慮した農業を進めるための方策を考える。
略歴:和泉 真理 (いずみ・まり)氏
一般社団法人日本協同組合連携機構 基礎研究部 客員研究員。1960年、東京都生まれ。東北大学農学部卒業。英国オックスフォード大学修士 課程修了。農林水産省勤務を経て現職。主要研究分野:ヨーロッパ特に英国の農業・農政、農業の担い手の確保(新規就農、女性農業者など)、農業と環境・有機農業。
進行:中嶋彩香(2025.4~東京大学農学部応用生物学専修3年, ~2025.3 東京大学教養学部前期過程理科二類2年)
第3回 ◆5月16日(金)19時~
「土壌からお箸までー食品ロスを考える」
講師:入江 満美氏(東京農業大学准教授)

農業は環境に大きな負荷を与えて成立している産業である。ところが、世界の食料生産量のうち3分の1は食品ロスや食品廃棄となって、ほとんどが埋め立てられていることが2011年の国連で問題となり、2030年までに食品ロスと食品廃棄物を半減することが国際目標になった。私たちは、この課題にどんな視点で取り組むべきかを土壌の視点から考えたい。
略歴:入江 満美(いりえ・まみ)氏
1997年4月東京農業大学にて農学研究科博士号取得後、同大学講師等を経て現職に至る。
農業系・食品系廃棄物の農業への有効活用や付加価値などについて研究。
農林水産省 審議委員、環境省 審査・検討会委員、世田谷区清掃・リサイクル審議会委員。
進行:金哲洙(日本農業新聞 JFEJ副会長)
◆第4回 5月23日(金)19時~ ※終了時刻最長で20:30
「農業などの人間活動が窒素循環および人と自然の健全性に及ぼす影響」
講師:林健太郎氏(総合地球環境学研究所教授)

20世紀はじめのハーバー・ボッシュ法の確立を経て、私たちはアンモニアの人工合成を可能とし、大量の窒素肥料を得て食料生産を伸ばして世界人口の増加を支えてきた。一方で、私たちが利用する窒素の多くが反応性を有したまま環境に逸出し、窒素循環を撹乱し、地球温暖化、成層圏オゾン破壊、大気汚染、水質汚染、富栄養化、酸性化などの多様な影響をもたらしている。窒素利用が望まずとも窒素汚染を引き起こすこの状況を窒素問題と称する。どうすれば窒素問題を解決していけるのかを林健太郎氏とともに学び考える。
略歴:林健太郎氏(はやし・けんたろう)氏
北海道大学(工学修士)、東京農工大学(博士(農学))。パシフィックコンサルタンツ、産業技術総合研究所、農業環境技術研究所(現・農研機構)を経て総合地球環境学研究所(地球研)・教授。第58次日本南極地域観測隊夏隊隊員。生物地球化学や土壌学を専門としつつ文理問わず広い関心を有する。地球研「人・社会・自然をつないでめぐる窒素の持続可能な利用に向けて」プロジェクトリーダー、国際窒素イニシアティブ東アジアセンター代表、国連環境計画栄養塩類管理グローバル・パートナーシップ運営委員など。第66回日本土壌肥料学会賞受賞。主な著書は、「図説 窒素と環境の科学」(朝倉書店)、「薫風のトゥーレ」(幻冬舎)、「奇妙で不思議な土の世界」(監訳、創元社)など。
進行:中嶋彩香(2025.4~東京大学農学部応用生物学専修3年, ~2025.3 東京大学教養学部前期過程理科二類2年)
◆第5回 6月11日(水)19時~
食の進化の最前線―フードテックのインパクトと日本の可能性
講師:田中宏隆氏(株式会社UnlocX(アンロックス)代表取締役CEO)

自然環境に大きな負荷をかけて、生産される食は果たして持続可能なのか。そして、AIが健康を管理するようになる時代、私たちの食生活や生き方はどう変わっていくのか。食文化の世界で進む技術革新「フードテック」を先導するトップランナーが、未来の食のあり方を展望する。
略歴:田中宏隆(たなか・ひろたか)氏
パナソニックを経て、McKinsey & Companyで8年間にわたり、ハイテク・通信業界を中心に成長戦略の立案や実行、M&A、新事業開発などに従事。 2017年にシグマクシスに参画し、グローバルフードテックサミット「SKS JAPAN」を立ちあげた。食のエコシステムづくりを目指し、23年にUnlocXを創設。著書に『フードテック革命』(20年、共著)、『フードテックで変わる食の未来』(25年、共著)がある。一般社団法人SPACE FOODSPHERE理事。一般社団法人 Next Prime Food代表理事。
進行:佐藤淳(読売新聞、JFEJ理事)
第6回 ◆6月13日(金)19時~ ※オンライン開催
「琵琶湖から生まれた資源循環型地域モデル。その軌跡と課題」
講師:藤井 絢子氏(NPO法人 菜の花エコプロジェクトネットワーク(元)代表)、園田由来子(愛のまちエコ倶楽部事務局兼理事)


1970年代「食とエネルギーの地産地消」を唱えてスタートした『菜の花プロジェクト』。
琵琶湖の赤潮をきっかけに、生活者も加害者になるという視点から、市民の暮らしから行政も含めた社会全体で、持続可能な地域を創っていくことの重要性を、実践をとおして発信してきた。水質問題からはじまり、気候変動問題に対応する中、エネルギー、農業・農村、食、地域内資源循環、地域自立…と時代が抱える課題に向き合い続けている。
略歴:藤井 絢子(ふじい・あやこ)氏
NPO 法人菜の花ブロジェクトネットワーク(元)代表。社)ワーカーズコープ社会連帯推進機構・副理事長、全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会・副会長、守山市環境審議会委員、東近江市円卓会議運営委員、グリーン連合顧問、日本環境会議顧問、NPO 法人・愛のまちエコ倶楽部顧問、NPO 法人・碧いびわ湖監事などの委員を務め、環境問題全般について活動中。
略歴:園田 由未子(そのだ・ゆみこ)氏
NPO法人愛のまちエコ倶楽部に2007年事務局として入職、事務局長を経て現在は事務局兼理事。『東近江市あいとうエコプラザ菜の花館』の指定管理者として、仲間とともに地域の資源循環の実践を担う。
進行:水口哲(Sustainability Transitions Research Network ウェビナー委員)
第7回 ◆6月18日(水)19時~
「食料生産を支える水のガバナンス、農業用水を再考する」
講師:渡邉 紹裕氏(京都大学名誉教授)

食料生産を支える農業用水。日本の水利用の3分の2を占め、食料生産を支え、水田の生態系保全や水源涵養機能など農村環境も保全している。資源として欠かせないものの、気候変動をはじめ、農村人口の減少・高齢化、営農形態の変化などで、その利用も変わり始めている。気象災害も多く、今のままの水のガバナンス(統治)で成り立つのだろうか。この気候変動状況下で、水資源、特に農業・農村を中心とした水の管理を考え直してみたい。
(講義の標題や内容は、変更されることがありますのでご了承ください)
略歴:渡邉 紹裕(わたなべ・つぎひろ)氏
京都大学名誉教授・特任教授(防災研究所)。一般社団法人農業農村整備情報総合センター理事長。国際かんがい排水委員会(ICID)名誉副会長・日本国内委員会委員長。1953年栃木県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士後期課程(農業工学専攻)単位取得退学。博士(農学)。専門分野は農業土木学(灌漑排水学)。総合地球環境学研究所教授、京都大学教授などを経て2019年4月から現職。共著に『地域環境水利学』『 農村地域計画学』『 地球温暖化と農業-地域の食料生産はどうなるのか-』『 Climate Change Impacts on Basin Agro-ecosystem 』など。
進行:林美穂(日本農業新聞)
日本環境ジャーナリストの会(JFEJ)事務局
メール jfej@gef.or.jp 電話 03-5825-9735
※テレワーク実施中ですので、お問い合わせはメールにてお願いいたします。