【開催報告】連続講座in2026 第1回「VUCAの時代」の暮らしの安全保障とは?

【開催報告】連続講座in2026 第1回「VUCAの時代」の暮らしの安全保障とは?

日本環境ジャーナリストの会では、連続講座「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代――暮らしの安全保障」の第1回を開催しました。冒頭、岡山会長がVUCAの概念を紹介し、国家安全保障とは別に、個人の生活に焦点を当てた「暮らしの安全保障」を提起。食料、エネルギー、雇用・所得、医療・福祉、住居、環境、社会的つながりの7項目を暫定的な枠組みとして示し、気候危機や感染症、災害の多発などの下で「暮らしが壊れれば意味がない」という問題意識を共有しました。(担当=岡山)

第1回目の講演は、元朝日新聞の編集委員で本会理事の竹内氏が担当。「記者生活30年で見たエネルギーの安全保障と問題」と題し、戦後80年の国際秩序の揺らぎを背景に、環境・エネルギー政策が直面する不安定さを語った。とりわけ原子力をめぐっては、チェルノブイリ事故が「安く簡単に電気を作れる」という前提を崩し、事故後の移住・除染の困難さや、事故対応に“現場に残る人”を必要とする構造的

リスクを指摘。福島第一原発事故では、想定していた停電時間(数分〜30分)を超え、外部電源が長期に途絶したこと、非常用電源の配置など「想定外」が一挙に現実化した教訓を振り返った。さらに、福島事故を契機にドイツが再生可能エネルギーへ大きく舵を切った一方、日本は化石燃料依存が続く現状にも触れた。

後半の質疑応答では、洋上風力の停滞(入札と撤退、国内サプライチェーン不在)、地震評価や確率論的安全評価の限界、戦争下での原発リスク(占拠・運転要員確保など)といった論点が議論された。停電への備えとしては、地域間連系線など広域送電網の活用を平時から進めること、寒冷地では暖房手段を複数系統で確保する重要性、蓄電の活用可能性も示された。竹内氏は、環境問題の大きな潮流として「カーボンニュートラル」と「ネイチャーポジティブ」を挙げ、VUCAの時代こそ、身近な暮らしの視点から安全保障を考え直し、「冬の時代を生き抜く」発想で報道・議論を積み重ねる必要があると結んだ。

次回(第2回)は「増え続ける鹿・イノシシ――野生動物と人の境界を考える」をテーマに開催予定。

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